3、お葬式のお金のはなし。
今回のコラムでは、葬儀にまつわるお金について、考えてみたいと思います。
葬儀費用は大きく3つの枠で構成されています。
(今回は、日本で最も一般的な仏式を例にします。)
① 儀式の執行費
② 宗教者への費用
③ 飲食費
①は、祭壇、会場、霊柩車、骨壺、供え物や香典返しなどが含まれます。
葬儀社では「基本セット」や「基本プラン」として用意されていますが、何の項目が含まれているのかは、それぞれの葬儀社によって組み合わせが異なります。
更に、祭壇や骨壺、祭壇を飾る花等、色々な項目にランクがありますので、いざという時に迷ってしまう材料となります。
そのため、何が必要で何が必要でないのか、事前に勉強しておくこと、あまり焦らなくて済むかもしれません。
②は、戒名料や読経料、お坊さんの交通費など、いわゆる僧侶(お寺さん)に渡す費用です。
これらの費用が明示されていることはあまりないようですが、2010年にイオンが自社の葬儀サービスを利用した人向けに、ホームページ上で布施の明示化に踏み切ったことがあります。(現在はネット上には未掲載)
その時に掲載されていた料金の目安は、読経一式+戒名代(3ランク)で、25万円から55万円。
直葬+戒名(または普通法号)で10万円というものでした。
また、インターネットで葬式を仲介している「ユニオンクエスト・オンライン」という会社は、インターネット上に布施の目安を掲げていますので、参考にしてみてください。
布施の料金表示の明示化及び体系化については様々な意見がありますが、消費者の立場で考えると、「金額が分からないよりは、はっきり明示してくれたほうが助かる」というのが本音ではないでしょうか。
③は、通夜振る舞いや、精進落としなどの飲食費です。
①~③の費用以外にも、死亡時に医師に作成してもらう死亡診断書の作成料も必要ですし、葬儀場や火葬場の予約がすぐに取れず、遺体をしばらく保存する必要がある場合は、その保存費用(場所代、ドライアイス代など)が発生します。
場合によっては、葬儀に参列していただいた方へのお車代、遠方から参列していただいた場合は宿泊費を負担することもあります。
更に、葬儀会社や火葬場のスタッフ、お手伝いをしてくれた方への心づけなど、思いがけない出費が発生し、葬儀費用の合計が雪だるま式に増えてしまうこともありますので、注意しましょう。
なお、参考までに、気になる全国の葬儀費用の平均ですが、日本消費者協会が2014年に実施した「第10回『葬儀についてのアンケート調査』」によると、平均金額は約189万円である、と公表されています。
最後に、気を付けておきたいのは、葬儀費用の支払方法です。
最近では、クレジットカード払いができる場合もあるようですが、現金での支払いが必要な場面も多々あります。
特に②宗教者への費用は、現金払いのことが多いでしょう。
「故人の葬儀費用なのだから、葬儀費用は故人の預金から現金を引き出して、支払えばよい」と考えている方も多いかもしれません。
ですが、相続人の一人が他の相続人に言わずに、故人が残した財産から葬儀費用を出してしまい、後々「故人の財産を使って、不必要に豪華な葬儀をした」などと、相続人の間でもめる場合もあります。
また、銀行などの金融機関にある故人の口座から、現金が引き出せなくなることもあります。
これは、口座名義人が死亡した事実が金融機関に知れると、その口座の取引ができなくなるためです(これを一般的に「口座の凍結」といいます)。
市役所に死亡届を提出したからといって、自動的に金融機関に連絡がいく訳ではありません。しかし、遺族が直接その事実を金融機関に告げてしまったり、金融機関が新聞の訃報欄から知ることもあります。
では、何故、金融機関は口座を凍結するのでしょうか。
理由は簡単です。
故人の口座は、亡くなった時点から相続の対象、つまり相続財産となるからです。
先に例として上げた通り、相続人のうちの一人が勝手に預金を引き出すなどして、相続人間でトラブルになることもありますので、金融機関としては、その争いに巻き込まれることを防ぐための措置(口座の凍結)を取っているのです。
いざという時になって、「あてにしていたお金が使えない!」と、焦ることがないようにしておきたいですね。
次回は、相続人とは誰のことなのか、を考えてみたいと思います。
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